少女とメルセデスの会話②
少女はメルセデスにキルトの
目鼻立ちは整っていて、
「……今日はみんなと遊ばなくていいのかい?」メルセデスは言った。さきほど、彼女のことを村の少女が誘いに来たのだ。
「……今日はいい」少女は目を凝らしてキルトの生地に針を通す。「めんどくさいし」
友人だろう相手を、堂々と突っぱねるような物言いにメルセデスは苦笑する。
「あんまり、皆で遊ぶのは好きじゃないのかい?」
「誰かといるのは楽しいけど、長くいると疲れるよ。基本的には独りでいたい」
「そうかい……マーリンもそういうところがあったね」
「ふぅん……。」
「……不思議なもんでね、孤独を好むのに、どうしてか人と関わっちまうんだ。うちらの血筋だろうね、これは」
「じゃあディエゴも?」
「ディエゴかい? ……あの子は」
メルセデスの言葉が止まった。
「メルおばさん?」少女の針と糸の動きが止まった。
「……あの子は逆だよ、誰かと常に一緒にいたがるんだ。なのにいつもひとりぼっちになっちまう……。近づけば近づくほど、あの子の気質にあてられてまいっちまうんだよ」
「太陽みたいだね」
「良い言い方をするとそうさね」からりとメルセデスは笑った。「でも心配でね……いつか、あの子の周りから誰もいなくなってしまうんじゃないだろうかって……。」
「……じゃあ、そうなったら私がディエゴの側にいてあげるよ」
メルセデスは少女を見る。
「独りになりたいのになれない私、独りになりたくないのになっちゃうディエゴ、ちょうどいいんじゃない?」少女はキルトの仕上げながらメルセデスを見る。
「……ありがとう、よろしく頼むよ」
決してプロポーズなどではなかった。ただ意図もせずにそういう言葉が出る少女だった。
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