第1話 担任を持つだと!?

「くそ…筆記試験はたぶん満点なのに……」


俺…フィロビアス・ルートは今かじられていた。足に犬が噛み付いている。昔から動物には好かれない体質だった。


「盗っ人だ!そこの者をとらえよ!」


どこからかそんな声が聞こえた。そもそも盗られるのが悪い。最低限の護身術は身につけておくべきだし見返りがないのに俺は盗っ人を捕まえようとも思わない


「そこをどけーーー!」


おっ…盗っ人がこっちに走ってくる。はいはい。もちろんどきますとも。

盗っ人に道を譲ってやった。しかしこの盗っ人…焦りすぎて道を譲った俺を殴り飛ばそうとしやがる。

なんで俺が殴られなきゃならんのだ。

よっと…ルートは一瞬で背後に回り相手を組み伏せた。もちろん意識は刈り取らせてもらったが


「この後どうしよう…」


もう先程の盗っ人は俺の足の下で気絶している


「おい!盗っ人め!とうとう一般人にまで手を出したな!」


おいおい。これどー見ても俺が捕らえてあげたシチュエーションでしょ。

褒められることはあっても怒鳴られるいわれはないな。


「ちがう。こいつ…」


ルートが話している最中にその警備兵は俺に向かって突撃してきた。くそ…本日2度めかよ。てかここ一応は貴族街なんだろう?

先程と同じように組み伏せる。一応意識は刈り取らなかったが。


「あのなぁ!ここでのびてるやつが犯人なんだよ。周りに聞けばわかるぞ」


「クソ。この程度でやれたと思うなよ!」


こいつあれですわ。全然反省ないし聞く耳すら持ってないやつだ。可哀想だが意識を刈り取らせてもらうか

そうして手刀を下ろそうとした時


「まってくださる?」


どこからか声が聞こえた。その声は聞いている者全てを誘惑するような艶かしいものだった。


「ありがとうございます。それは私の護衛でして…感謝いたします。荷物まで取り返してくださるなんて………おや?あなた確か先程の採用試験で開始早々に諦めた問題児さんじゃないですか!」


「誰が問題児だ!ほらよ!これだろ?盗まれたの」



てか…こいつ学園長じゃんか。なんでここに…

そしておかしい。盗まれたカバンが軽すぎる。まるで何も入っていないような…。

あぁ…そうゆうことね。


「おまえ…おれのことためしたろ?」


「やはり気がつきますか。そのくらい戦えるのなら問題ありませんわ。そこで組み伏せられた2人は一応は私の護衛の者でしたの。まぁ見習いですけど」


こいつらは弱すぎたから実力を隠すことなど簡単だった。しかし模擬戦の相手であったバサロは別だ。あれは少しばかり力を出さなきゃならんかったからな。



「不採用通知かしてくださる?」


俺はそれを渡した。すると不採用の隣にあった採用に丸をつけ自分の名前を学園長が書いた。


「はい。採用です。私は国立ローブ学園の学園長。アリサ・ブリューナクと申します。アリサと呼んでください」


色素の薄い肌。水色をさらに薄めたような腰まである髪に程よく整っている体。そして水色の瞳をもつアリサは優雅に一礼した。恐らく彼女を見たものは当分は忘れることができないであろうってほどの美しさを持っていた



「こちらこそよろしく頼む。」


俺の採用が決まった瞬間だった。

…おそらく。バレてないよな?黒き疾風だって。いや、あの目は何かに気がついてる。まぁ気にしたら負けだ。誰かに言うようなやつにも見えないしな









「…とゆうことで決まったぞ!採用!聞いてんのかジジィ!」


「そうかそうか。ならしばらくローブ王国におるのだな?家などは任せい。わしが借りてきてやろう」


「たすかる。それから少し世話になる」


そして俺は明日の始業式に向けて眠りについた






俺は冷や汗が背中を伝うのを感じた。今の時刻は8時30。生徒は8時10分からの朝礼に出席しているし先生となった俺はその1時間前には集合していなくてはいけなかった。

完全に遅刻であり弁解の余地もない寝坊である


「よし。帰るか」


俺は開き直って帰ることに決めた


「どこえ行くえのです?」


「あぁ〜この声はアリサか。遅刻した。寝坊だ」


「あらあら困った方ですねぇ。私の肩を10分間揉んでくださるのなら遅刻をなかったことにしますよ?」


こいつに学園長やらせてていいのか?絶対に職権を乱用してそうなやつだろ。


「時間があればな。とりあえずやってやるから

この状況助けてくれ。」

「なら私の後に付いてくるといいですよ〜」


俺はアリサの後をついていった。

そして今全校生徒の前にアリサと並んで立っている。

アリサについて行って何個か扉をくぐったら舞台に立たされていたのだ。ここで挨拶しろと言ってきてる。

先生方も何かいいたそうにしてる。バサロにいたっては口をパクパクしてやがる。マヌケな顔してるなぁ


「フィロビアス・ルートだ。今年からここで先生をやることになった。よろしくな」


「ここのフィロビアス・ルート先生には魔術師科の1年D組を担当してもらいます」


…え?俺って担任もつの?

あぁ…先生方も慌ててるよ。これ絶対にアリサが今勝手に決めて発表したやつだ。あとで先生方には謝っておこう。



そして俺は1通り先生方に挨拶をした。基本的にはこちらこそ。と社交辞令のように返してくれた。バサロを除いて


「こ…こいつがなんで学園に!?降参を開始早々宣言した問題児ですよ!?私は認めません!」

「あなたが認めなくても私が認めたのです。

バサロ教員?」


あえて教員を強調するあたり職権を行使してるなって感じる。そして俺はいざ…1年D組に向かった




「今日から担任のフィロビアス・ルートだ。よろしく頼む。基本的にはほとんどの科目を教えることになるはずだ」


「………………」


あれ?変なこといった?やめろよ。心配になるだろ。

そして改めて周りを見渡すとまだ1年生だと言うのにクラスの約40人いる中の8割の目が死んでいるような諦めているような目をしていた。


「…さて。どうしたものか。」


ルートの1日はまだ始まったばかりだ

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