さぁ 課外授業を始めようか

瀬戸口マカロン

第0話 フィロビアス・ルート

このロッテン王国は腐ってる…

この綺麗な街並みが憎い。この国は平和だと信じきっている国民が憎い。あの笑顔もこの笑顔も…犠牲の上になりたっている物だと気がつけ。


「もうお前らには従わない。世話になった。俺がこの国に牙を向けないことを祈るんだな」


この国の王族に貴族。宮廷魔法師団に国家騎士団がいる前で俺は言い放ってその場を後にした…




日差しがさんさんと照りつける中…俺は昔の知り合いにあうためローブ王国へときていた。ローブ王国はロッテン王国から馬車で3日の距離にあるロッテン王国の隣国だ。

レンガでできた平屋がたくさん並び、道の脇では出店の人達の声が聞こえてくる 平民街に俺はいる。そこから国の中心にいくと貴族街だ。同じレンガ造りだが2階建て、3階建ての家が普通になってくる。さらにこの国の中央にある城の存在感は異常だ。いまいる平民街からも城がうかがある


隣国だから街の作りが似ているな

俺はそんな感想を持ちつつ知り合いの経営している酒場を訪ねた



「おい。生きてるか?ジジィ。俺だ。ルートだ。」


「おぉ!フィロビアスじゃないか!久しぶりだな。お前がロッテン王国から抜けたのは本当みたいだのぅ」


「フィロビアスはやめろ。長いから」


俺の名前はルート・フィロビアス。

この元気な手ぬぐいをしているジジィはダン・マクド。もう50くらいになるらしい。酒場の店主だ。



「まぁいろいろあってな。それより仕事を紹介してくれないか?もう貯金もつきそうでな。ロッテン王国ではもう働けないしな。」


「お前には散々世話になったしのぅ。少し待っていておくれ」


俺は酒場での食事を楽しみながらジジィをまった。5分くらいしたら渋い顔をしながらこちらに来た。




「フィロビアス…教師やってみんか?」

「はぁ?俺が?ふざけるな。もっとましな仕事あるだろーが。」


「1番金が稼げそうな物を紹介したんだがのぅ。それにお前ならできるだろ?」


「いや。俺は絶対にやらねーからかな。

他の仕事もってこい!」


他に合った仕事は

鍛冶屋の手伝い。経験者求む。

これはダメだ。俺は武器を使う側であって作る側の知識は皆無だからな。

料亭の看板娘を募集してます。

俺は男だ。論外

貴族街の有名レストランから。魚のアルドーマキを解体できるもの。

あぁ…あの図体はでかいのに食べれるところが1割しかない高級魚か。あれ資格必要だろ?無理

乳母求む!

なめてんのか。



やばい。俺ができる仕事がない。


「くそ。それでどこの学校だ?」


「国立ローブ学園じゃよ。まぁ教師になるなら試験があるらしいがの。」


「取り敢えず試験を受けてみるか…そしてそれはいつだ?」


「今日じゃよ。あと2時間後で受付終わるっぽいのぅ。」


どうやら受付してそのまま試験へ移るようだな。


まだ宿も取ってない。そしてこの国に来てまだ1日目だというのに。

このジジィ。さっきから俺をおちょくってるのか?

そのニヤニヤした顔やめろ。俺を見て楽しんでるのがよくわかるぞ。




「くそ。よりによって国立って…もちろん受付にだす書類はできてるのだろ?」

「もちろんじゃよ。経歴とかは偽装したし完璧だと思うのぅ」


俺の経歴なんてかけるわけない。ずっとロッテン王国にいたのだからスパイなどと思われて騒ぎになるのは目に見えている


「ならいってくる。場所はわかってるから大丈夫だ」


「ほほっ。ならいってくるのじゃのぅ。」




「…………………黒き疾風もかわったものじゃのう」


ダンが酒場で小さな声で呟いた。この呟きは酒場と外の喧騒で誰も聞き取ってはいなかった

なんだな。








受付に間に合うおことができた。

これに着がえろといわれて着替えた服は戦闘服だった。試験の内容は筆記試験に模擬戦があるようだ。筆記試験といっても常識的なことしか聞かれなかったので余裕だった。

模擬戦だったのだが…



「フィロビアス・ルートです!」


「君の相手になる国立ローブ学園の教員であるバサロだ。内容は読んだね?武器は自由。戦闘時間の5分を過ぎるか、相手 または教員側が倒される又は降参を宣言したら終わりだ。」


「りょうかいです!」




それでは開始!

そう宣言された時にはすでに勝敗が決まっていた。



「おれ…降参します」

「実力差を悟りました。負けでいいです」


とても間の抜けた声がルートから放たれた。



結果は当然不採用。わかりきっていたことだ。

こんな教員や模擬戦を観戦する者。ルートは実力をだすわけにはいかなかったのだ。

特に学園長が見ている前で。恐らくルートの正体がバレてしまうだろうから…







フィロビアス・ルート

それはかつて最強といわれたロッテン王国の宮廷魔導師団 国家騎士団 その両方で序列1位であった人物だ。ルートは人前には現れず

その戦いぶりは魔導師団、騎士団ともに序列5位以下の者には目で追うことすらできなかった。

素顔を知っている人物はそれこそ少ない。しかし学園長には1度ルートの戦いを見られている。つまり正体がバレる危険性があったのだ


もしバレていたらそれこそ騒ぎになり、ルートという大きな戦力を取り込んだとバレればロッテン王国とローブ王国で戦争が始まってもおなしくはない。



またルートの目にで追うことすらできない戦い方。

かろうじで追うことができた者たちがこう呼んだ


「黒き疾風」と。

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