第2177話:キャミ・フーブ~歯抜け遺跡~

 この遺跡、妙だ。

 あんまり妙じゃない遺跡が無いんだが、この遺跡はその中でもだいぶ妙な場所が多い。

 少なくとも地上部に30か所ほど、区画が失われている気がするのだ。

 遺跡内で手に入れた地図を頼りに探索しているのに、区画丸ごと抜けているため狙った場所に重要設備が無く、なかなかいい物を手に入れることができない。

 先に遺跡を訪れた探索者が強引な探索をして建物が削り取られたりしていることは少なくないが、この感じはそれとも異なるような気がする。

 乱暴な探索者がするような、建物を丸ごと破壊したりしたときに残る残骸や破片の痕跡が一切ないのだ。

 区画丸ごとが忽然と消失したかのように、有るはずの建物が無い。

 この地図がただの都市計画書であるためまだ建設に着手していない区画は存在しないということであるならば納得もできるが、もともとは存在したが何らかの理由で失われたような気がしてならない。

 もしかしたら、消えている区画は生き物だったのかもしれない。

 それならば、都市全体とは別の枠でこの世界に転生してきていてもおかしくはなく、都市の何か所も歯抜けになっていることも理解できる。

 しかし、そうなるとその施設単体でこの世界のどこかに存在するということになり、探すのも苦労しそうだ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る