第2166話:クペー・ライルト~その手~
「その手があったかぁ!!!」
同居人のじじいがうんうん唸っていたと思ったら突然大きな声で叫びやがった。
「いきなり叫びやがって何事だよ」
「信じられん妙手! こんなことがあるとは……」
「だから、何の話だよ」
いつも何か電脳空間に意識を飛ばして遊んでいるからはたから見ると夢でも見て寝言言っているようにしか見えないが、何をしてるかさっぱりわからん。
「ふふふ、今電脳上でボードゲェムを遊んでたんだがな、わしが終始優勢であったのだが、相手方がなんと今打った起死回生の一手、それがまさに妙手も妙手。途端にわしが不利、奴が有利になるとんでもない一手!」
ただゲームに熱中してるだけだったわ、いつものことだった。
「そんないい手打たれたならどうにかする手を考えないとね」
適当にあしらってさっさと電脳の方に戻ってもらった方が静かでいいかもしれん。
「おおっとそうじゃったいかんいかん盤面をしっかり見て熟考しなければな」
そう言ってまたうんうん唸りだしてしばらくして静かになった。
負けたかな?と思いそちらを見てみると、電脳からログアウトしてすごい落ち込んだような顔で
「妙手と言うのは勘違いだったかもしれない。普通に悪手じゃったな……」とつぶやいていた。
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