第2140話:クラメル・モーディ~過剰包装~

「ちょっとこの箱開けておいてくれないか」

「ん、どれ?」

「あのラッピングされてる奴だよ。中身開けたらこっちにくれ」

 言われた方を見るとゴテゴテとした包装をされた箱が置いてあった。

「わかった」

 箱を拾って手を掛けたところで、確認しないといけないことに気づく。

「なぁ、この包装紙は破っちゃっていいのか?」

「包装紙? いいよいいよ破っちゃっても」

「了解~」

 いいらしいし遠慮なく包装紙をびりびりに破いて紙から箱を取り出す。

 更に箱を開けると緩衝材と更に箱。

 更に箱を開けると元の箱の大きさにピッタリした向きの違う箱が出てきて、開けるとまた箱。

「ねぇ、これ箱がどんどん出てくるんだけど、過剰包装すぎじゃない?」

「そうでもないよ。 中にある物を見たら確かにそれぐらいの包装でちょうどいいやって思うよ」

「ほんとかなぁ?」

「ほんとほんと」

 更に箱を開けると箱。

「うおー!」

 箱を開けてどんどん別の箱が出てくるのを繰り返したが結局箱の中身を取り出すことはできなかった。

「絶対おかしいって! これ! もしかして無限に箱が入ってるんじゃないの!?」

 もうやってられんとキレたら

「そうだよ、やっと気づいたのか」

 と笑われてしまった。

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