第2036話:ケルア・ライタラ~狂いネズミ~

「ネズミ花火というのがある」

「はぁ、それが……?」

「これがまた、面白い代物でな。火薬紐を巻いた形をしていて、火薬が発火して火を噴き、その推進力で高速で回転して最後にはパンッとはじける」

「それのどこがネズミ……?」

「な?「それのどこがネズミ?」って思うだろ? 俺も思ったんだよ。確かにちょろちょろと動くのはネズミっぽい要素かと思うが、実際ネズミ花火って言うのはネズミに比べて滅茶苦茶派手に動く。そこで俺は気づいたんだ「もしかして、ネズミ花火ぐらい派手に動き回って弾け飛ぶ、狂ったネズミがいるのではないか?」とね」

「いるかなぁ……」

「そうして世界中を探して回ったんだ。時間はたくさんあったことだしな。そしてついに……」

「ついに……見つけたんですか?」

「狂っているのは自分だということに気づいたんだ」

「え?」

「そりゃあもうだって考えて見ろよ。あんなぐるぐる回ってはじけ飛ぶ生き物がいるわけないだろ。よしんばいたとしてもそれはどう考えてもネズミじゃねぇ」

「まぁ……確かに……?」

「だから結論としてはくるってない物を探そうとしていた俺で、まぁネズミ花火の命名者で開発者も狂ってたんだじゃねぇかなというのが結論さ」

「それは酷いいいような気も……」

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