第2037話:アテルア・リウン~魔法筋肉~

「魔法は筋肉だ」

「ちょっと今信じられない言葉を聞いた気がするのだが、詳しく聞かせてもらってもいいかな? 魔法が筋肉だとか……」

「ああ、魔法というものはじつは筋肉で解決されるものなのだ。人体には魔法筋という筋肉が存在しており、使えば使うだけ鍛えられるものなのだよ」

「確かに魔法の力は使えば使うだけ鍛えられるものだとは聞いているけれど……それは筋肉の作用で本当にそういう筋肉があるっていうこと……?」

「そのとおり、筋肉がある。昔私が大量の人間の解剖を生業としていた頃、全く運動なんかしていない魔法使いで全身の筋肉が衰えているのに体の一部分の筋肉だけが妙に発達しているということがあった。私はそれ以降その筋肉に着目し研究し、それこそが魔法使いが魔法を使う際に使用している魔法筋であると発見したのだ」

「途中に聞き逃せないことを言った気がした気がしたけど、なかなか研究としてはまっとうな気もするから、スルーするわ」

「その魔法筋は人体により様々な場所に存在していて、使用する魔法の種類によって鍛えられる魔法筋も異なるのである。例えば、火属性の魔法を使えばどこの、といった具合にね。これは何百人もの魔法使いを分類して研究してきたから間違いないぞ」

「なるほど? やっぱり筋肉でってことはその筋肉を運動によって鍛えることで魔法の力が強くなるってこともあるってこと?」

「その通り、ただし通常の運動ではなかなか鍛えられない場所にある筋肉でな。運動で魔法力を磨くのは厳しいということも分かった。ただし筋肉であるからには栄養素を摂取することで魔法を使った際に成長を促すことも可能だと、研究の結果わかった」

「その栄養素って……」

「まぁ一般的に流通している魔法力を育てるドリンクに含まれているものと変わらない物だったよ。そりゃあそういう効果があれば知られているさ」

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