第2029話:ウルモニカ・ライベリッチ~穴の開いた桶~

「どれだけ桶に水を入れても溜まっていくことは無いんだ、なぜならこの桶には穴が開いているからだ」

「何が言いたい……?」

「まぁ何が穴の開いた桶に喩えられたかは君の想像に任せるよ、何が穴なのかもね」

「てめぇ!!!」

「おや、怒るということは君何か心当たりがあるということかい? 私に対する暴力は止めたほうがいい。私にとってはまぁ不幸ではあるが、君にとっても不幸な結果を招くだろう。そう、メリアスを襲ったアリモロウスのようにね」

「ぐ、たとえがわからん。ローカル教養が必要な奴だろそれ!」

「おっと失礼、まぁなんにせよいい結果にはならないという意味さ。わかってくれるかい?」

「くっ、仕方ねぇ。見逃してやるよ」


「なんだ、お前もあいつに会ったのか」

「なんなんですかあいつ、いきなり馬鹿にしてるようなことを言うし、なんか変な忠告をしてくるし、何よりなんか意味わからん喩えで変な知識マウントとってくるしよぉ!!!」

「実はあいつはなんか意味深なこと言ってくるだけで特に何かを知っているわけでもないお互い不幸になるというのも警察に通報するぐらいの話だから、本当に気にしなくてもいい」

「なんだ、その程度の話だったのかよ。次あったらぶちのめしてやる」

「まぁ別にいいだろ、意味深なことを言うだけで害は無いからな。何なら、意味深なこと言われて気づかされたこともあるんじゃないか?」

「ん……」

「まぁそういうことだ」

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