第2028話:クチル・ホフル~地下の夜空~

 起きて外に出てきてみたら、満点の星空だった。

「空が見える……」

 ここは地下のはずなのに、どうしてか空が見える。

 いったい何なのだろう、あそこに大穴が開いていて空が見えるという感じではない。

 穴のふちが見えないのだ、大きな穴が開いていたらふちが見えそうなものだが、全く見えない。

 だから、きっとそこに空があるのだ。

「やぁ、起きたかい」

「あ、はい。あの……あの空って」

「ああ、あの空ね。びっくりするよね。この穴の天井には魔法で描かれた空があるんだよ。まぁ言ってしまえば偽物の空なんだが、宇宙を計算しているからこの世界の空よりもこっちの空の方がなじみがある人はいるかもね」

「宇宙を計算……?」

「まぁ本物の空を再現したものってことかな、まぁこの天井にその魔法をかけていった人の故郷の空なんだけどね」

「はー」

「彼は夜空が好きだったらしくて、この空はいつでも夜空さ」

「なるほど……って今夜じゃないんですか? 今何時ですか!?」

「今はだいたい昼過ぎぐらいかな。ずいぶん長いこと眠ってたんだぜ、君」

「そんなに……」

「ああ、まぁ当分用事なんてないだろ、ゆっくりしていきなよ。まぁ時間の感覚はおかしくなってしまうかもしれんがな」

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