第2025話:パリ・フォモール~出血~

「うう……」

「お、おい大丈夫か? そんなに血が出て……」

「大丈夫、まだ立てる、戦えるぜ」

「いやでも、その出血は致命傷じゃあないのか……? 今動いたら……」

「大丈夫と言ったら大丈夫! うおー! いくぞ!」

「お、おい!」

 あんなに血が出ているのに、動きが全然鈍っていない。

 どうなっているんだ? あの脚の傷なんて動脈は裂けて筋肉が断絶していそうで、立ち上がるのも不可能なんんじゃないかというぐらいの重症なのに平時よりも機敏じゃないか?

 しかも、地面に下りずに飛び回ってるし、手から見たこともない光の玉を打ちまくっているように見えるが……

「これが気合があればなんとかなる世界の出身の戦い方なのか……」

 気合と根性で秘められた力が覚醒して空も飛ぶし気合の塊を飛ばし合う、もうあれはなんか、すごい世界だな……

 あ、倒した。

「っておいおいおいおいおい」

 空飛んで戦っていたのが決着がついたとたん、力を失ったかのように落ちてくる。

 何とかギリギリ滑り込んでキャッチ、命に別状はなさそうだ。

「腕が折れるかと思った……」

 高所から落下してくる人間を受け止めるもんじゃあない、それこそ人は頭を強く殴られただけで死ぬような世界の人間にとってはな。

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