第1982話:リー・ヒグタン〜君は誰?〜
「ここは何にでもなれる場所、君は何になりに来たの?」
「僕は……」
「僕?」
「え、いや……そうだ、俺は……」
少し特殊な施設での受付の仕事、この施設に入った方々は皆生まれ変わり別人のようになって帰っていく。
私の仕事はそこの受付で、決まった問をすること。
「ここは何でもなれる場所、君は何になりに来たの?」
本当は台本通りの決まったセリフ、それをいかにもフランクに、心の防壁を超えていく。
最初は緊張してあまり口を開かない彼らも、懐に踏み込めば口も緩くなるものだ。
その第一歩が私の役割だ。
「私はリー・ヒグタン。君だよ」
今日来たお客さんは突然にそう言った。
「あなたは……私?」
「そう、久々に思い出して来てみたら、知ってる顔が知ってることしてたから、声かけちゃった」
「それは……どういう……?」
「ああ、覚えてないんだ。そりゃそうか、私も最近まで完全に忘れていたんだもの。この施設のやってること、知らないんでしょ、今の役割は受付だものね」
何を……?
「この施設は人生の交換、ここに自分の人生を登録して、望みの人生を申告すると他の登録者の人生になり替わることができる、催眠術が得意なんだよ、ここのオーナーはさ。」
言って……
「私も昔はそうやって受付やってたもんよ、リー・ヒグタンだったころはね。あなたは今、私と人生を交換して生きているんだよ」
……
「さぁて、あなたは誰?」
私は誰……?
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