第1981話:カミリ・ピストリ~虫取り~

「今日のテーマは虫取りだよ」

 そういう宣言で始まった我々懐古遊戯部の今日のテーマは虫取りらしい。

「知ってました」

「おや、君はそんなに聡かったかな? むしろ察しは悪い、鈍いと言われるような人間だと思っていたが……そうか、君は意外と聡かったのだな、認識を改めなければならないようだ」

「いや、早朝未明に虫取り網と虫籠を装備して林に集合というメッセージ来た上で今日は何の遊びをするのかなぁ~って考えているようだったら脳の病院が必要な人ですよ」

「む、そういえばそうだったな。というわけで今日は虫取りだ! ノルマは一人5匹、張り切っていこう!」

「この林ではどんな虫が取れるんですか?」

「知らん。初めて入る林だ」

「います?」

「まぁいるだろう。林だしな。雑木林という奴だぞ、虫を取るなら雑木林、当たり前のことだ」

「まぁ確かにそれはそうですが」

「そうだろう? より大きな虫を捕まえられた方が勝ちだ! よーいドン!」

 そう言って林の中に勢いよく駆け込んでいった。

 さて、どんな虫がいるのかと続いて踏み込んでみる。

 しっかりと管理された林で見通しはよい、しかし部長はあっという間に見えなくなった。

 大丈夫だろうか、迷子になっていたりはしないだろうか。と思っていたら勢いよく走って戻ってきた。

「おっと、ここにいたかカミリ青年! 急いで林の外に逃げるぞ! 虫取りは中止だ!」

「え、あ、はい」

 慌てる部長につられて駆け足で林の外に出る。

「はぁ、何があったんですか?」

「うーむ、管理者の方に怒られた」

「さいですか……」

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