第1980話:ミケー・ラミリャ~黒い色~

「黒色っていいですよね」

「は? 何を言ってるんだい、黒色がいいわけないだろう?」

「えー、かっこいいじゃないですか、黒色」

「何がかっこいいことか、黒は闇の色だ。呪われている色なのだ」

「うーん、わかってないなぁ色に貴賤は無いし、そういう印象事態がカッコいいんじゃないか」

「君は信仰が足りないようだ。信心深ければ夜を恐れ光にありがたみを覚え、白を尊び黒を忌む。そうあるべきだ」

「いやそもそも、私はあなたと同じ神を信仰しているわけじゃないですからね?」

「そうだったか?」

「ええ、異教徒とは相容れない宗教でした?」

「いや、そんなことは無い。しかし異教徒であるならば黒を好むというのも納得がいく。神は自身の信徒にはよりよい生活をするために知恵を教えとして授けてくださったが、完成を異とする者の存在も認めてくれたからな。多様性というやつだ」

「いい神様なんじゃないですか」

「だろう? 君も改宗しないか? 黒などという忌むべき色を捨てるのだ」

「まぁ神様の教えが100パーセント浸透するわけでもないか……、改宗とかはしませんよ。私の神は私なので」

「そうかい? 機会があれば考えてくれよ」

「まぁ機会があれば。それで、黒い家具を置くことには異論を唱えないってことでいいですか?」

「そこは君の領域だ、シェアハウスをしているとはいえそこに私が口を出すことはできないさ」

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