第1956話:ヘクシア-16Ⅵ~涙~
「ねぇロボ、あんたって泣けるの?」
「なんロボか、藪から棒に」
「昨日見た映画で人の心が無いアンドロイドが最後のシーンで涙を流し始めてさ、実際あれってよくわからないじゃない? たとえ感情を得たとしても構造的に涙が流れないアンドロイドなら感動したり悲しんだりしたとしても涙を流すことはできないでしょ?」
「確かにその通りロボね。ただ、ああいった作品での涙はレンズユニットの洗浄液であることが多いので、機構的に組み込まれても不思議ではないと思うロボ」
「あー、なるほど……? それであんたは泣けるの? 死んでこの世界に生まれなおせる判定が入るってことは、感情とかもあるんでしょ?」
「感情をどう定義するかにもよるロボが、泣く機能は搭載されているロボ」
「さすがねぇ、でもあんたの同型機とかをこっちで見たことが無いし、奇跡的に感情を獲得して死んだと認められたロボだったりして」
「さすがにそれは無いロボ、私の同型機は存在しませんロボ」
「そうなの?」
「私は一台ずつ違う仕様で作られたシリーズ、16番目ロボなので」
「ふーん、人間っぽいそのやり取りは組み込まれた仕様ってことなんだ」
「いえ、生活の中で学習しましたロボ。泣く機能もそうするのが自然ということでレンズユニット洗浄機能をハックして泣けるように自己改造を施したのでロボ」
「自分で泣けるようにしたの?」
「自身への裁量が多く組まれたロボットならそれぐらいはどうとでもできるロボ」
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