第1936話:フヴァ・アヴァ~事務手続き~

「えーと、手続きはここでいいのかな?」

 ギルドに一人の男が現れてざわめく。

 誰もその男のことは知らなかったが、その男の持っていたものが注目を集めた。

 その男は巨大な魔物の死体を担いで現れたのだ。

 そのまま事務手続き用のカウンターへと持って行った。

「ここに魔物討伐を報告すると報酬が支払われると聞いてきたんだが……」

「確かにここは報酬の支払いをしていますが……、直接ここに持ってこられても困りますね……」

「そういう物なのか……ではどこへ持っていけば?」

「そうですねぇ、その魔物はどこで狩ってきたかにもよりますが、魔物の処理場というのがあるので、そちらに持って行ってもらって査定を受けてもらわないと……」

「なるほど、面倒なのだな」

「さらにこちらの魔物はあまり買い手がある素材が取れる物でもないので……逆に処分料がかかる場合もありますね」

「何、魔物を討伐してなぜ金を取られなければならんのだ」

「討伐依頼が出ている魔物であるならしかるべき手続きを踏んだうえで報告をしていただければ報奨金が支払われたりもするのですが、手続きをしていない状態で勝手に討伐して死体を町に持ち込まれたものですから……」

「なるほど……」

 簡単に言えば望まれていない巨大なゴミを持ち込んだということになる。

 そんなことをする奴は初めて見た……

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