第1934話:カフマ・ライパ~崖から落ちて~

「いてて、気絶してたみたいだ」

 崖から落ちたところまでは覚えている、ここは谷底か……?

 上を見上げれば足を滑らせた場所が見え、とんでもない高さから落下したことがうかがえる。

 なんで無事だったんだ……?

 特段体が丈夫というわけでもないのにあの高さから落ちて平気なのはどう考えてもおかしい。

 地面が柔らかかった……?

 いや、触った感じ普通の地面だ、跳んでも撥ねてもトランポリンのような衝撃吸収性があるようには見えない。

 そして落下した衝撃で気絶したという感じでもなかったはずだ、落下したことの恐怖での気絶だと思う。

 というか気絶するほどの衝撃で落下したならもっと体のあちこちが痛んでもおかしくは無いし……。

 誰かに助けられた? こんなところで?

 しかし助けた後にそのまま何も言わずに置き去りにするなんて、どういうつもりなのだろう。

 急いでいる途中で見かけて助けてくれたのだろうか。

 手紙でも置いておいてくれれば後からお礼を言えたのに……

 それとも突然体の強化が覚醒して頑丈な体が落下の衝撃を受け止めたのだろうか。

 何が起きてもかしくない世界ではあるからな。

 一時的に重力が軽くなって助かったということもあるかもしれなしな。

 さて、どうやって上に戻ろうか……

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