第1933話:ウラマ・ミルハ~震天動地~

「揺れたな……」

 そもそも地震自体が珍しいことだが、これほどまでに大きな揺れというのはめったに起きない。

「大丈夫か! 何か壊れた物は? 割れた物には落ち着くまで近づくんじゃないぞ! また揺れが来るかもしれない、外に出ておこう」

 建物自体が超構造体でできているから多少の地震、では全くビクともしないが家具は固定していないし地震を想定した配置なんて一切していない。

 聞こえた音だけでもたくさんの割れ物が割れて、地面に破片が散乱していることが想定される。

 室内でも靴を履いていることが当たり前の文化圏で良かったとも思う、昔住んでいたところは地震が多かったにもかかわらず室内では素足が通常の生活だったからこういう割れ物が散乱している時の危険度が段違いだった。

 その経験から今こうやって不意の地震の際に冷静な行動ができるのだが。

「壁には近寄るんじゃないぞ、できるだけ広い場所に、倒れたり崩れたりしたときに下敷きにならない場所を選ぶんだ」

 身近な人間が全員広場に出てきていることを確認し、次の揺れが来ないことを祈りながら、揺れが来た方角を見る。

 ただの自然現象の地震ではない気がする、大きな爆弾が爆発したにしても煙のようなものは見えない。

 何か大きな存在が近くでぶつかり合ったか……?

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