第1919話:ウバーン・パルアム~ミニディスク~

「ん、見慣れない記録媒体だな。なんだ?」

「それはミニディスクって言うんだ」

「ミニディスク?」

「ああ、とある世界の限られた時代にしか使われることがなかった音楽向けの幻の規格だよ。物理サイズ辺りのデータ容量がまぁあんまり多くはないが、デザインが好みでね。個人的な音楽ストレージはこれで管理している」

「ふぅん、なんか少し振るだけでカシャカシャ言う脆そうなディスクだなぁ」

「内部に光学ディスクが格納されていて、外部は透明樹脂製のケースで覆っているんだ。だから見た目以上に衝撃に強い。スロットから射出されても安心ってもんさ」

「まて、射出されることがあるのか? それはヤバいんじゃないのか?」

「いやいや、たまにだよ。どうにも仕組みがね、取り出す際にバネで勢いよくカシュっと出るんだが、止める機構が上手く働いていないようで、飛びだすことがあるってだけのことさ」

「まぁ、それでいいってのならいいけど、せっかくの丈夫さが完全に死にそうな特徴だなぁ」

「むしろ活きるかもしれないだろ?」

「うーん、それはどうかなぁ……」

「まぁ見て見ろって」

「どれどれ……?」

「こうやって取り出すんだ」

「おお、結構かっこいいな……音楽を流してみてもいいか?」

「ああ、いいよ」

「……音質が微妙だなぁ~!」

「圧縮率が高いからね、仕方ない。味があると思えば……」

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