第1898話:カラブ・ワルブ~破砕~

「これが噂の壁か……」

「どうします? 陣を完成されては厄介なことになると思いますが」

「うーん、まぁ妨害はしなくても大丈夫なんじゃないかな。この町では陣を完成させることはできないだろうし」

「なぜです?」

「すでに主要な道路に壁を置いたことで町の中に壁を作った者に対しての悪い感情が渦巻いているだろう? だから、僕らが何かしなくても妨害されると思うよ。現に昨夜は何も続きが作られてないっぽいし」

「なるほど」

「だからさ、僕らはあの壁を壊せるが壊さない。まずはあの壁があることに町の人間が慣れて悪感情が薄れる前に動けなくなっている彼を見つけて捉える必要がある」

「なるほど」

「魔術を行使した以上、探せば見つかる。この町にはほかに魔術を使う者はほとんどいないはずだからな。やつもそこに目を付けてこの町に来たんだと思う」

「では今晩からやっていきましょうか」

「おそらく、あの壁から連なる陣が描ける場所の様子を伺っている奴が怪しい。俺たちも張るぞ」

「はい、やっていきましょう!!!」


「まさか俺たちが壁を作った犯人だと疑われて追われることになるとはな……」

「確かに突然現れたよそ者が問題の場所でうろうろしてたら怪しいことこの上ないですね……」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る