第1876話:クルパル・イリャー~自動レシピ~

 レシピと材料を適当に放り込むと放り込んだ材料からいい感じに料理を完成させてくれるマシンが完成したのだが、その開発の最終段階に行われたテストをいくつか紹介しよう。

 マシンの開発の過程では普通はそんな使い方をしないだろうみたいなことまで想定してテストを行う。

 想定していない使い方であっても、マシンを使う過程で何か想定外の挙動をして事故に発展させるわけにはいかないのでそういうテストを行う。

 このマシンの場合は例えば、レシピに無い材料を放り込んだり、レシピに書いてある材料を不足させてマシンを起動させるとかだ。

 まぁこの程度のことは仕様にも対応が記載されているので、その通りになるかどうかを検証するだけで良い。

 レシピに無いものを追加で放り込んだら料理完成時に余剰分はそのまま排出される。

 不足していればその材料を要求する。

 それだけの処理をすればよい。

 他には調理中に取り出し口や投入口を無理やりこじ開けられた時の処理を確認したりしていくわけだが、ちょっとした問題が発生したのは投入された材料を正確に判定できるかどうかのテストを行っていた時だった。

 成分的にはほぼ同一だが味の異なる同じ見た目の材料を一部混ぜたところ、材料が違うというエラーを吐くことなく調理は開始されてしまった。

 これは判別ができないから仕方ないかと思って完成した料理を食べてみたところどういうわけかレシピ通りの味で出てきた。成分が同じであるならば同じ調理で同じ味にすることが可能であることがわかり、少しの議論の後これは仕様になった。

 似ているが毒を持つ場合は正常に異物判定を出せるし、目的の味が出るならば問題はないのだ。

 更にテストは続き、かなり煮詰まってきたころに食品以外はどうなるのかと適当なパズルの解法をレシピとして読ませ、パズルを入れてみた。

 結果はなんとパズルが解けた状態で出てきた。

 その場にいた全員が頭をひねることとなったがマシンには一切の破損は見られなかったため特に直す必要もないし、なんでそうなるかもわからないからと何度かの追試験の後に説明書に記載されることもない隠し機能として仕様となった。

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