「ドッペルゲンガーに会ったら死ぬって話があるじゃないか」

「あるな、もしかして会ったのか？」

「あ、うん。会ったよ」

　勢い余って崩れ落ちた。

「は！？　ウッソだろお前、会ったって、ドッペルゲンガーにか！？」

「えぇ、会いました。案外気のいいやつなんだよねぇ」

「いやいやいやいや、え！？　出会ったら死ぬって話あるよねって話し出しで、会ったことあるってお前！」

「まぁ、それでこっちに来たんだから、不思議なことは無いだろ」

「あぁ、なるほどね……前の世界でか、それならまぁ、わからんでもない」

　わからんでもないが……

「気のいいやつだっの？」

「あぁ、滅茶苦茶いいやつだった。俺の顔なのに滅茶苦茶爽やかなやつだなと思うぐらいにはいいやつだった」

「それで……？」

「なら俺もああいうふうに振る舞えば印象良くなってモテるんじゃないかと思って、真似してみたんだよ」

「ドッペルゲンガーに出会って死んだんじゃ……？」

「いや、別にすぐ死ぬわけじゃなかったよ。そんで、真似してみたら案の定すげーモテてさ、その結果モテた時の振る舞いがうまく行かずに殺されてしまった」

「何の話？」

「ドッペルゲンガーに出会うと別のステージにいる自分を見せられて、真似をすると身分不相応な場所に迷い込んで死ぬってことだったんだなぁって」

「そういうことなの？」

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