第1869話:ヘープ・ミャリオ~サイン会~
サイン会の列に並んでいる。
誰のサイン会なのかは全く把握していない。
ただ、他人のサインという物を無差別に集めているだけだ。
無節操に、かもな。
というわけで、誰とも知らない人のサイン会に並んでいるというわけだ。
酔狂な趣味だと人には笑われてしまうだろう、しかしそれでもこれは私のライフワークであり、前の人生より続けている趣味だ。
「なんて人がここにたくさん集まっている可能性もあるじゃないですか」
「そんな酔狂な人、いても一人か二人ですよ。今ここに集まってる人はみんなあなたのサインが欲しくて並んでるんですよ!」
「噓だぁー! そもそも私のサインなんてなんでほしいのさ。私の何を見て、私のサインを求めてるのさ、みんな」
「…………」
「そこで黙らないでよ! なにかあるから来てるんでしょ!? まさか全員私のサインをもらいに来るように買収でもしてるっていうの?」
「買収等はしておりませんし、本当になぜ彼らが並んでいるのかは私にも全くわからないのです」
「本当に理由がわからないの……?」
「はい、わからないのです」
「本当にわからないのね……怖いわ、なぜ彼らは私のサイン会に並んでいるというの……私はサイン会以外の活動しかしていないというのに」
「本当に不可解ですね、そもそも最初の活動にサイン会を選んだのも、そのサイン会が最初からずっと長蛇の列を成すことも、それ以降もサイン会以外の活動を何もしていないことも含めて全部が」
「有名な感じだしたくて、サイン会を開催したら有名人っぽさが出るかなって思ったから……」
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