第1843話:テブロツ・キカムツ~オーバーワーク~
「しっかり休憩はとれよ! そこ、休んでないだろ、そのセット終わったら休憩いれろ!」
チームの監督は、やたらと休憩を重視する。
入れすぎなんじゃないかというぐらい休憩をいれるとかではなく、他のことは割りと適当というか、放任、良く言えば僕らの自主性に任せたやり方をするのだが、休憩にだけは本気だ。
適切に、疲労で認識能力が落ちる前に休憩を入れろと言ってくる。
チーム全員がやってるトレーニングを見ていて、いつ休憩をしていつから休んでないのかを完璧に把握している。
ここまで強い適切な休憩への執着にはなにか理由があるんじゃないかとおもって以前休憩の折りに聞いてみたことがある。
「昔、オーバーワークで教え子を亡くしたことがあってな」と、監督は語っていた。
確かに、過ぎたトレーニングは身体を壊す原因にもなる。
筋繊維や筋が治らないところまで破壊したら選手生命は終わるし、万が一の場合は日常生活にまで支障がある。
だから休憩は絶対に適切なタイミングでいれるというのが拘りなんだそうだ。
なるほどなぁと思うのと同時に、休憩以外の部分がおざなりなのはどういうことかと思ってしまう。
過去にオーバーワークでとは、このレベルのトレーニング指導の上で、オーバーワークになったんだろうやはり。
たぶん、指導の分では伸びが実感できなくて無理な自主トレをしてしまったんだということは想像に難くない。
このチームにも結構練習中にトレーニングをこっそり行っているものは何人もいる。
たまに監督に見つかって怒られてはいるのだが……
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