「ここら一帯の石は目的の鉱石を内包しているんだが、採集は困難を極めるんだ」

「何か特殊な技能が必要、ということですか？　それとも地中深くにあるとか」

　岩がゴロゴロと転がっている山、そこに鉱石採掘の仕事で来て経験者の先輩から詳細な説明を聞いている。

「いや、技能自体は不要だ。適当につるはしでその辺の石でも割れば手に入る」

「では何が困難なのです……？」

　その辺に石はそれこそ無数に転がっている。

「目的の鉱石の排出率が0.01%なんだ」

「排出率……？　だいたい石に含まれている割合がそれぐらいという……？」

「うーん、合ってるようで違うんだ。ただ含まれているのならこの一帯をスキャンしてごっそり持って帰って工場で分類してやりゃあいい」

「ではどういう……？」

「ここの石は人の手で割った瞬間に中身が確定するんだ」

「なるほど？」

「工場で機械で自動で割ってもただの石にしかならんからな、しかもこの辺りでしかダメという話だ」

「それはめんどくさい……！」

「必要なのは運と根気だけなんだ……」

「それは……困難ですね……！」

「まぁ、そのためにお前を連れてきたんだ。運がいいことで有名だからな」

「あー、なるほどそういうことですか」

　運が悪く運が良かったみたいな感じになってしまったな。

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