第1824話:シエビ・テキパク~無い概念~

「無い物は無いって言うじゃない」

「まぁ確かに無いかもしれないね」

 この世界には何でもあるというのは、この世界で少しでも生活をしたならよっぽどの視野が狭い人以外は気づくだろう。

「本当に無いのか?」

「まぁ、無い物はいくらかあると思うよ、宇宙とか」

「いや、あるらしいんだよな、宇宙。空の上にあるわけじゃないらしいんだけど、宇宙はあるらしいんだ」

「あるの?」

「ある、らしいよ?」

「あるのかぁ」

 宇宙、無いらしいって聞いていたのに……

「どこかの滅びた世界にあった物はどれもどんな形であれあるってことらしいのよ」

「ちょっとまって、それじゃあ……どこの世界にもない概念はこの世界に無いってこと?」

「あー、確かに、そう……なるのかな?」

「じゃあ……」

「じゃあ?」

「アレなら無いのかもって言おうとして、そもそもそのアレが無い概念を持ち出そうとしてるから私の想像力に依存するわけなんだけど私の想像力が貧困過ぎて無い概念を無から想像して創造するには無理があったことに気づいた……」

「そう……」

 その後も二人で頭を悩ませて想像してみたが、思いついて言ってみた概念が名前は違えど実際に存在する概念だったりして無い概念を探すのも難しいな……となったりした。

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