第1823話:テッカー・リバロウ~二度とない~

「ほんと信じらんないよね」

「ああ、ほんとうにな」

 もう、二度とこんなことは起きないだろう。

 それほどに珍しい出来事だった。

 ここにいるすべての人間の運気が人生で最低であったがゆえに相乗効果で発生した大事故なのだろう。

「事故とはいっても、さすがにこんなことが起きちゃうとね」

「うん、ここにはもうな」

 万が一と億が一が重なったような確率で、ここに来たからと言って再びこのようなことが起きることはないはずだが、こんなことがあった以上、もう来ることはできない。

「じゃあ、ここには二度と会わない人もいっぱいいるってことだね」

「おそらく、俺とお前以外は二度と会うことはないだろう、もしかしたら俺とお前も、戻ったら二度と会うことはないかもしれない。これはそんなレベルの事件だ。今こうやって冷静に話せているのも混乱が極まって逆に冷静になっているだけだからな。本当に落ち着いて考えた時にどうなるか……」

「そうだね、しばらくは日常の中で今日のことを思い出すことは避けて暮らしたいかも」

 二度と来ることのない事件、その現場に来ることは二度と無い。

 そうして、二度と会うことはない仲間たち。

 今までの日常自体も二度と帰ってくることはないのだろう。

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