第1793話:ケーレ・コグル~折れる腕~
「お前の腕太いよなぁ、俺の腕何本分だよ」
「さすがにお前の腕全部束ねたら俺よりも太いよ。一本当たりの肉も多そうだし、力勝負で勝てるかどうかわかったもんじゃない」
「そうか?」
「そうさな」
「しかしなぁ、俺の腕は脆いんだよ。すぐにポキポキ折れちまう、いやはや、昔はこんなこと考えもしなかった。この腕は逃げるのに便利だし、なんならいくらでも生え変わる。生存には便利な体質で、だからこそご先祖様も体得したんだろうということはわかってるんだが……こうして治安のいい文明社会の中では戦いとは真っ向からするもので逃げることはない、なんなら負けても命の保証は大抵されている。そうなりゃこの折れやすい腕はただの弱い腕さ」
「そうかな」
「そうさ」
「だとしても、俺がお前に油断や手加減をすることはない」
「そうか? 全部の腕を折ってくれたりしないでくれよ? さすがに全部だと飯が食えなくなってそのまま生えてこないなんてこともあり得るからな」
「そうだな、一本ぐらいは残してやるよ」
「ああ、そうしてくれると助かるね。しかしまぁ、これから戦う選手の控室が同室ってのは如何なものかね、情が湧いたらどうしてくれる」
「お前みたいなやつがいるしな、本当に困るよ」
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