第1794話:ヒプ・ルート~ヒーロー~
「大丈夫ですか」
「あの、あなたは……?」
「通りすがりの者です、では」
夜道暴漢に襲われて、そこを突然現れた人が助けてくれた。
名も名乗らずに去っていった彼はいったい何者だったんだろう。
「ああ、知ってるよ。最近ちょっと噂になってるよね、あの謎のヒーロー」
「謎のヒーロー?」
有人との昼食、昨夜の出来事を話すとどうやら昨日の人は噂になっているようだった。
なんでも最近の夜、襲われたり何か困ったときにどこからともなく表れて助けてくれる、謎の人がいるという。
正体不明だがいい人で、謎のヒーローとして噂されている。
噂では暴漢を一撃で倒すとか、テレポートで現れるとか、一言もしゃべらないとか、そういう感じで噂されている。
しかし、まぁ聞いてみると昨夜の様子とは全く違う。
決行苦戦していたし、走ってきたし、普通にしゃべっていた。
まぁ噂の中で話が変わってしまうことは多々あるものだし、そういう物だろうと思うことにした。
できれば昨日の人に直接お礼が言いたいのだが、どうにか会う方法はないだろうか。
ピンチになれば来るだろうか。
いやさすがにそれは危ないし、やめた方がいいだろう。
そんなことを考えながら夜道を歩いていたら、知らない路地にいた。
「あ、あれ?」
この町は謎のヒーローが活躍して噂になることができるぐらいには治安が悪い。
こんな路地裏に入ってしまえば、昨日のヒーローにお世話になる可能性が高くなる。
それこそ、襲われなくても迷っていれば。
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