第1749話:ケイヘ・ソレオ~直前~
それは直前のことだった。
今はもう回想だから、余裕をもって語ることとしよう。
長年の確執に決着をつけるための戦い、その両陣営の代表だけがその場に立っており、他の皆は倒れていた。
私もそのうちの一人、体は動かせずとも意識はあり、倒れながらも何とかその決着を見届けようとしていた。
その戦いは熾烈を極め、お互いにすべての主張するべき言葉はすべて吐き、もはや武器を交えることでしかお互いの意見を通す方法はない、そういう状態での戦い。
もはや負けようが、それに巻き込まれて死のうが、かまわないという心持で見守る。
そして、そんな風に負けても気にしないというネガティブな方向への応援の気持ちが悪かったのか、私が支持する代表の方が一歩追い詰められバランスを崩し、そのままとどめを刺される、その直前にそれは起きた。
今思えば決戦の場所が悪かったんだろう。あとはその場にいた全員の運か。
死んだ火山の火口の中だったんだ、そこは。
まぁ、ここまで話せばどうなったかは想像に難くないわな。
偶然、火山が噴火したんだ。
足元は割け、皆落下していき、割れ目から火が噴き出した。
それは代表の二人の足元から広がっていき、俺たちは全員それに巻き込まれた。
おそらく火山を挟んで両側のふもとに存在していたそれぞれの村も巻き込まれてすべて焼けてしまっただろう。
とまぁ、それが俺たちがこっちへ来た経緯ってやつさ。
てなわけだから、早くあいつらから引き離して仲間のところへ送ってはくれないか、気まずいんだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます