第1748話:ウイル・ページ~身内~
「まったく、身内の小競り合いがどうしてこんなことになってんだ」
大規模な戦場の中に身を置いて、思い出す。
事の始まりは身内二人のちょっとした言い争い、それがあれよあれよと膨れ上がり、大規模な戦争といってもいい規模の争いに発展していた。
「そりゃあもう人類皆兄弟、つまり全員身内なんだから際限なく身内の小競り合いが広がっていくってもんさ」
「その言葉はそういう意味ではない」
「そうだろうか、私もいくらかこういった小競り合いを発端として国が滅んだという例をいくつか知っているよ」
「人類が皆兄弟かはしらないが、愚かなのは共通らしいな……」
「まぁ、そういうものだよ。距離が近いから争う、それが身内ならなおさらだ。普段は運がよく転がっていかずに小さい争いで済んでいるだけさ」
「そんなもんかね」
俺とこいつはこの争いの発端となった二人だ。
最初はおかずの種類をどうするのかという程度の口争いだったのだが、引っ込みがつかなくなりお互いが友人に相談、その結果どんどん話が広がっていき、それぞれを選ぶ者たちに元の話とは全く関係ないレッテル張りをされ、今では元が何を選んだ者の集まりかわからなくなっても争っている。
俺たちが元凶だということもみな知らないようだし、さっさと二人で引っ越してこの町を去ることにしよう。
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