第1714話:ポーテ・リオーロン~コミュニケーション不足~

「やぁ、おはよう」

「…………」

 挨拶に対して返事はない。

 かれこれここ一週間ぐらい声をかけているが、ずっとこの調子だ。

 これではコミュニケーションもままならない。

 それは大変良くないのだが、こちらが根気よく話しかけても彼女からの返事がないことにはどうしようもない。

 また明日も挨拶をしてみるか。

 根気よく挨拶し続ければ彼女も心を開いて返事をしてくれることだろう。


「やぁ、おはよう」

「…………」

 今日も返事はない。

 しかし、少し体が動いたように見えた。

 いつも後ろから声をかけているから、振り向こうとしてしまうところまで来てしまったのだろう。

 よしよし、いい兆候だ。

 僕の声を記憶して、反応をしそうになるところまで来たということは振り向いてくれるところまでももう少しといったところだろう。

 返事を返してくれるまでもう少しだ。


「やぁ、おはよう」

「…………」

 よし、振り向いてはもらえた。

 ここまで長かった……

 もう、二季は経っただろうか。

 睨むように見られたが、まぁそのうちすぐに挨拶を返してくれるようになるだろう。

「おはよう」

 ここで顔を見ながらの挨拶、だめ押しだ。

「…………」

 相変わらず返事はしてくれないが、顔を合わせて挨拶できただけで進展だろう。


「あれ……?」

 彼女は顔を見せてくれた翌日から、そこに現れなくなってしまった。

 毎日そこに来る用事がなくなってしまったのだろうか。

 残念だな、仲良くなれそうだったのに……

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