第1679話:ヒプシー・レイチュ~このまま~
「いつまでも変わらない日々が続けばいいのになぁ」
窓際で垂れながらひとり呟いているのは、この町の主である一人の魔女だ。
彼女望みはこの町に住む誰もが知っている。
永遠の平穏、変わらぬ日々、昨日と同じ日。
それはつまり、停滞した平凡な日々であり、今この町を覆っている呪いでもある。
彼女は、この町に停滞をもたらし新しいことが起きないようにしてしまった。
今日は昨日で、昨日は明日だ。
永遠であり、延々と同じ日が続く。
幾人かはそのことに気づき、魔女を打倒せんと秘密裏に行動をしている。
それは新しい明日を呼び込むために。
「今日の偵察を終え、帰還した」
「おかえり、どうだった?」
「言わなくともわかるだろう、昨日と同じだよ」
「そうだな、変わらないものな」
「そっちはどうだった? 準備は進んでいるか?」
「昨日と同じさ、いつになったら終わるんだろうな」
「さぁ、明日になれば終わるんじゃないか」
「そうだな、明日になれば、明日を取り戻す作戦を開始できる」
「明日になりさえすれば、だが……」
「明日を取り戻すための作戦が、明日にならねば開始できないっていうのは何かおかしくはないか?」
「仕方ないだろう、ここは停滞の内側なんだから。毎日変わりない日々、反乱の芽すら育ち切ることはできない。何かの拍子に誰かが明日へ抜けなければ、ずっとこのままさ、昨日も言ったようにな」
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