第1680話:ウミハミ~不完全保証~
「絶滅した生物のデータ上での復元、理屈の上では可能なんですよね?」
「生物を創生しない前提での再現であれば、という制限が付きますがね」
「この世界の理の話はもういいです、何度も聞いて聞き飽きたので」
「まぁそうですね、じゃあシステムの説明に移りましょう。これは仮想空間で絶滅した生物の記録を再生しています。行動原理等々解析してモーションパターンとして与えていることで生物としての完成度を下げることでこの世界の理に反しない形でのシミュレーションを可能に」
「ちょっと、ストップストップ、一気まくしたてられても駄目だって。順番に説明してくれよ」
「順番に説明しているじゃないですか。まぁ仕方ない、さっさと体験してもらうかな。じゃあこれを被って」
「お、おう」
「さて、ではシステムを起動するがその前に注意事項がある。あれらを生物として認識してはいけない、認識したとたんに生物としての不完全性が担保されなくなって、システムが崩壊する可能性があるからね」
「認識しないっていうのは難しくないかな?」
「難しいけど、不完全な出来だから、生物と認識することはない、と思う」
「そういうもの?」
「そうだよ、じゃあ起動するね」
「楽しみ……お、おおぉすごいこれ! 本当にいる動物みたいだ! どこが不完全なんだい、完璧では?」
「あ、だめだって言っただろ……! エラーが発生して落ちてしまった……」
「え、いやこれどこが不完全だったの? 完璧に動物だったし、あれを動物って認識しないのは無理だよ」
「だから理屈をちゃんと理解してもらおうと思ってたんだけどなぁ……」
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