第1637話:イゲー・リンディボ~研究所跡~

「ひでーもんだ」

「まったく、何の研究してたらこんなことになるんで?」

「さぁ……、確かここは兵器研究をしてるぐらいのことは聞いてるが、まぁなんらかの事故があったんだろうなぁ」

 森の奥にある廃墟、もともとは何かの研究所だったようで、先輩とペアで調査に来た。

 目標はいくつかのレポート、撤収時に回収忘れがあったらしく俺たちに回収依頼が入った。

「何の研究をしてたかは回収予定のレポートを読めばある程度分かるんじゃないかな?」

「まぁ、依頼のものかどうかを確認するためにも読まないといけないからな……仕方ないな。さっさと探せよ」

「どの部屋にあるとかの辺りはついてるんです?」

「さぁ、撤収のごたごたでどこに行ったか分からないらしい。聞いたところによれば一度は持ち出そうと手に持った記憶はあるが、持ち出せた資料の中にはなかったらしい」

「しらみつぶししますか」

「そうなるな。危険物もあるらしいから気をつけてな」

「へーい、気を付けますー」

 手分けして目標物を探す。

 棚はガラガラ、少ない残留物もメモ書きや落書きがほとんどで、一応必要かもしれないのでかさばらない範囲で回収しておく。

「おーい、そっちはあったか?」

「落書きばっかですね。目的のものはないです。あ、いや、これかもってものがありました」

 返事をしながら後ろを向くと、机の影に一冊のノートがあった。

「えーと、表紙には『機密:エルリー以外の閲覧を禁ずる』って書いてありますね」

「お、それだそれ」

 早速中を見てみるかと、表紙を開く。

「これか……?」

 中は誰かの日記帳だった。しかも結構恥ずかしい内容の。

「いやこれ違うっぽいですわ」

「そうか、暗号で書かれたレポートだからな。そう簡単には見つからないか」

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