第1636話:ヒブン・リーギィ地図改定~~
「このあたりだな」
「何の変哲もない平原だと思うんだけど」
「そりゃあ、何かある場所を選んでくるわけじゃないからな……っと、再測定の結果、もう少し離れた方が良さそうだ……この辺りかな」
指示に従い、少し下がる。
「まぁ、予測の時間まではまだ少しあるから、ここにテントを建ててゆっくりしよう」
そういって、簡易テントで屋根を作り、ケースを簡易的な椅子にして目の前に簡易バーナーを置く。
「ほら、ココアだ。もうすぐ暖季が来るとは言えまだ寒い、ここは吹き曝しだからより冷えるしな」
慣れた手つきで淹れてもらったココアを受け取り、口をつける。甘い。
「確か初めてだよな。地図更新のための観測に同行するのは」
「えぇ、いい経験になるって聞いてきたので、楽しみにしてたんです」
「まぁ、なかなか。あんまり期待しすぎてもあれだけど、俺はこれを偶然見て虜になったからこの仕事をしてるって言えるぐらいにはいいもんだよ」
「へぇ、楽しみにしてます」
その後、カードで遊んだりしながら時間をつぶしていると何か空気が変わった。
「来ました?」
「よく気付いたね。来るよ、見てて」
そう指を指された先を見ていると、目の前に光る壁が現れた。
そしてそのままその壁は砕けて散って、キラキラと消えていく。
これがさっき言っていたとてもいい体験という奴だろうか。
「見てごらん?」
きれいだなぁと呆けていたところにさらに見る用に言われる。
「え、すごい」
さっきまで平原だった場所は山になっていた。
ここに滅びた世界が生まれなおしたのだ。
「なかなかいい体験だろう? さて、観測を始めるよ。ドローンを飛ばすから、手伝ってくれるかな」
先ほど椅子にしていたケースからいくつかの部品を取り出して組み立て始めた。
私たちがしている仕事は新しく出現した地形を観測して、地図を更新することだ。
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