第1612話:フチスレ・デリデル~悪役~

「私どうしたらいいでしょう?」

「どうしたら、とは?」

「私のいた世界では私は悪役だったんです。役割が決まっていてその通りにあの子にいたずらしたり、不遜な振る舞いをしていれば立場は保証されていて、何度だって繰り返していたんですけど、この世界では相手も私もこうした独立した一人の存在として存在することになってしまっていて、人との付き合い方が何もわからない……」

「なるほどね、そういう悩みを持つ人が集まるのがここ、よくたどり着いたね。みんな役割に生きてきた者たちだ。私も相談に乗るという役割を担っていたよ。ここにはいろいろな役割マッチング需要が集まってきているから、君のようにだれかを虐げる役割を持っていた人も、虐げられる役割を担っていた人とマッチングできるよ」

「いるの!?」

「いるよ、まぁ少し違うかな……まぁ虐げられたいっていう要求は同じだし、まぁ紹介するよ」

「ありがとうございます~」


「あなたが、あの人が言っていた虐げられたい人ね!」

「そうです、私を虐めてほしいのです!」

「うん? そう、心配しなくても虐めてあげるわ、私の立場と悪役チューニングされた性格を存分に使ってね!」

「よろしくお願いしますお嬢様!!!」

 うん? 何か違う気がするなぁ……

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る