第1602話:フウロウ~流れ者~
「ようやく見つけたぜヒサマツ元気そうで何より」た
「君は誰だ……? ヒサマツとはなんのことだ? 俺はヒガストという、君の探しているヒサマツと言う人ではないよ」
人探しの旅と言うのは、時として見つけて声をかけただけでは終わりにはならないことがある。
「記憶を失っているのか……? ヒガスト、この辺りの言葉で流れ者を意味する言葉だな。また拾われたようだなヒサマツよ、いや、今はヒガストと呼んでやるか、そちらの方が話しやすいだろう?」
「お前、俺の過去を知っているのか?」
「そりゃあ知っているさ、前の世の話、俺とお前は相棒だったからな。前のお前を拾ったのは他の誰でもないこの俺だからな」
だから、この世でも他の全てを利用してヒサマツを探したのだ。
この者の価値を俺は知っている。
できれば他の誰かに拾われる前に拾いたかったのだが、致し方あるまい。
誰かに拾われればヒサマツは目立つ、その目立った行動を目印にでもしなければ、こいつのことは見つけることなど不可能よ。
ヒサマツは拾ったものを必ず大成させるのだ。
異常な、そういう仕組みを持っているとしか思えない。
人々の隣を転々と流れ、大成させて時代を進めるそういう存在だ。
俺もそう、ヒサマツを拾って大成し、寿命で死んだ。
しかし、ヒサマツは死なない、寿命がないからな。
だから、死ぬ前に俺が殺した。
次の誰かに流れるのが我慢ならなかったからだ。
死んでこの世界に来て、世界の仕組みを聞いたときは殺してよかったと本当に思ったさ。
そしてようやくこの世界で、再びヒサマツを拾うことができる。
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