第1580話:キッテ・イシュア~サイボーグ化~
「膝が痛くなってきた」
「メンテナンスはしているのか?」
「いや、俺は義足じゃないから」
体の節々が痛むという感覚、ずいぶんと久しぶりだ。
前はだいぶ長生きして、後半というか大人になってしばらくしてからはずっとどこかしらの関節が痛む状態だったことを思い出す。
生まれなおして、子供の体になって、めちゃくちゃ体が軽くて、なんかんだその上がったテンションのまま、体操を趣味にしてかれこれ40年ぐらい?
前に比べたら全然大丈夫だが、そろそろガタが出始めたか……
「そろそろ、サイボーグ手術も視野に入れてみたらどうだ? 生涯現役でいられるぞ。そういう部門もあるしさ」
「サイボーグ部門ってあの限界曲芸みたいな部門だろ? 俺はあんなのの仲間にはなりたくないなぁ」
「あれぐらい、慣れれば誰だってできるようになるさ。それ用にカスタムするんだから」
「いやそういう心配というよりも、自分の体の限界に挑戦したかったから、改造手術をしてしまったらそれは俺の身体なのかっていうな」
「ああ、よくあるジレンマだな。だが、言っておくと体の節々が痛み始めて衰えを感じてきたらもうそこが生身の限界。あとは技術の世界になるだろう。そこで技術をひたすら磨くために全身サイボーグ化さ。脳の劣化が本格化するまで時間は伸びるし、早く始めた方がそっちの身体へのなじみも早い。今なら馴染むまでにそう時間はかからないしな」
「うーん、やっぱりそうだよなぁ……」
「一部補助具でもサイボーグ部門に放り込まれるから、やるなら全身やっちまった方がいい」
「やっぱそれだよなぁ!」
一部補助具でまだ生身で戦えるか? と悩んだが、あのとんでも集団の部門に生身で放り込まれるのは勘弁してほしい。
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