第1568話:ライテ・フラッサ~石を食べる~

「なんですこれ」

「何って、夕食だよ。聞いたぜ? お前らレセラルア族は石を食べるって」

「確かに私たちはあんたらが石って呼ぶものを食べるけれどね、あんたこれ道端で拾ってきた石でしょう? さすがにそんなものは食べないわ。私が食べるのは、もっと混ざりものの無いものです」

「宝石とかか? いや、さすがにこんな場所で宝石を用意することはできないし、いちいち食事に宝石なんて用意してたら食費が……」

「宝石は確かにおいしいですが、あそこまで質のいいものを用意する必要はありませんよ。そうですね例えるなら、あなたがたなら、そう、その草、なんていうのかは知らないですが、畑で育てられた、食用で、名のあるものでしょう? その辺で草を引っこ抜いてきて、食事だと渡されても困惑するしかないんです。わかります?」

「あーなるほど。すまない、これしか用意してなかったんだ。何か自分で持ってきてるか?」

「いえ、別に大丈夫です。私たちの食事はたまにしか必要ありませんから。出る前に食べてきたので、今日は不要です」

「そういうものか。なら俺だけ食べさせてもらうよ。悪いね」

「別にかまいませんよ、そもそも私たちには共に食事をするということ自体が稀ですし、他種族の人の食事は興味深いです」

「そうか、じゃあ遠慮なく。今度は君が食事をしているところを見せてもらいたいな。石の種類の話も聞きたい」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る