第1567話:ツキル・トイト~火口の底に~

「熱い……暑いじゃなくて、熱い。どうなってるんだここは、火の山か?」

「火の山だよ、あらかじめ言ってあったろうに。どうして耐熱装備を用意してこなかったんだ」

「君がそんな恰好だから本気だとは思わなかったんだよ、なんだその海にでも出かけそうな格好は、火山って言っても海に突き出た休火山島とかのことを言ってるのかと思ったぜ」

「僕は元より気温の影響を受けない、知ってるだろう」

「知ってるよ! それでいて季節から外れた恰好をしないこともな! くそぉ、この時期に夏みたいな恰好をしてることを疑問に思うべきだった……。冬だもんな、今」

「夏季の気温の場所に来るからこの恰好なのだよ、思慮深さも足りなければ観察力も足りないね君は」

「言わせておけば……! というか、さすがにこの気温だとその恰好は不適切だぞ。気温って感覚がわからないから数字だけで適当に恰好を決めたな?」

「影響を受けないからな、雰囲気さえ合っていれば……」

「合っていない。合っていたら今俺がこんなことにはなってない」

「そうか、泳ごうと思ってこの恰好なんだが……」

「どこで泳ぐつもりなんだ……、溶岩か? さすがにお前でも……いけるか?」

「熱を感じないじゃなくて、熱の影響を受けないだからな、俺にとっては多少重いだけの液体さ。今回の目的も火口に沈んでいる」

「あー、それでそういう恰好なのか……いや、水着で溶岩は合ってない、泳ぐためって言うより濡れてもいい恰好だからな。最悪服だけ燃えるぞ」

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