第1553話:ジェッツ・ボヅ~鈍足戦車~
「超火力の戦車って憧れるよなぁ」
「ああ、昔乗ってたことあるよ」
「本当にか!」
「ああ、ただ……、あんまりいい物ではなかったぞ」
「そうなのか?」
「まぁ、必殺兵器としての扱いはされたけどなぁ……」
「必殺兵器かっこいいじゃん、何の問題があったんだ?」
「そりゃあ、強すぎるのと運用コスト、あとは取り回しの悪さのせいで、訓練でしか動かしたことがないことさ」
「うわーお、戦場での活躍は無いのか~」
「そうなんだよ、訓練でだとしても少し動かしただけだし、整備にかけてた時間の方が長いぐらいだよ」
「でも訓練では少し動かしたんだろ? 主砲は撃ったのか?」
「撃ったよ、理屈上の射程は地平線の向こうを狙えるってことだったが、俺が撃ったのは演習場横の山だったかな、消し飛んだが……」
「めっちゃ強いじゃん……、なんで使われなかったんだろう」
「地平線の向こうを狙えると言っても、開発されて置かれていた場所が本国の中心に近い場所で前線までは届かなかったこと。隣町にある訓練用の演習場に運ぶだけでも数か月かかる程の運搬性能。使えないものだったんだよ、使うつもりがあったのかもわからないけどさ」
「威嚇用かなぁ」
「いざというときに公開して相手を降伏させるつもりだったのかもね。その前に本国の中心に爆撃されてぶっ壊されたわけなんだけど」
「そっかー」
「そうさ」
「超火力の戦車で戦場を蹂躙したいなぁ……」
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