死後の異世界

第1535話：ミリツリ・エイア～占い～

「死んでますね」

「はい？」

　辻占ないに運勢を見てもらったところ、それだけ言われた。

「いやいや、死んでるのは当たり前の話じゃないですか。だってみんな一度死んでますし」

「そうなんだよねぇ、私もそう思うんだよ。元々はなかなか名の知れた占い師だったんだけど、この世界に来てからは全員天命を全うしたとしか出なくてねぇ、困ってしまったんだよ」

「あー、じゃあなんで占い師を続けてるんです？」

「もしかしたらまだ天命の尽きていない、今に生きている人に出会えるんじゃないかと期待してね、無駄だとは思っているんだけど……」

「自分の運命を見たらいつそういう人がいつ現れるかわかるんじゃないですか？」

「自分で自分を占うことはできないんだ、見えたとしても天命は尽きているから、その先は見えないよ」

「なるほどなぁ」

「さて、死後の運命は見えないからお代はいらないよ。さぁ行きなよ」

　うーん、なんだかかわいそうな気がするなぁ。

　誰か死んでても運命の流れがありそうな人がいるのであれば彼に紹介してやりたいものだけど、残念ながら私にそんな知り合いはいない。

　彼はこれからも通りかかる人に「死んでますね」という今の状態を伝え続けるのだろうか。

　それが彼の死後の運命ということだろう。