第1503話:ウチカ・リケジ~骨格~

「ここは骨ばかりだな」

「そりゃあそういう展示だからな」

 骨格展、近所の美術館で面白そうな展示をしていたから、友人を連れてきてみたが、なかなか思っていた以上に面白い。

 骨というものは生物を支える基礎になるものだ。

 生物から肉を剥ぎ、内臓を抜き取り、関節を固定して展示している。

 まさに生物の機能性の展示と言っても過言ではない展示だ。

「ねぇねぇ、これは何の骨?」

「どれだ? この展示は骨は飾ってあるけど動物の名前は書いてないからな……なんだこの骨は……?」

 そこにあった骨は見たことの無い奇妙な形をしていた。

 基本的に僕が知っている生物というのは肉体の中で骨が一番硬く、身体の枠組みだったり、防護だったりに使用されるものだ。

 しかし、この骨格は背骨が一本通っているには通っているが、細い。

 それに比べてでかい頭部と頭部よりもでかい下半身。

 それが横に並べられている。

 どういう生物だこれは。

 肢のようなものもないし、蛇や竜の類か……?

 蛇だとしたら両端がでかすぎる。

 だとすると竜か……?

 竜なら骨格は様々だし、魔法を操るものもいる。

 それなら、この骨格でも存在は可能か……?

 しかし、それにしてもなぁ……、こんな貧弱そうな骨をした竜がいるかぁ……?

「あ、すいませーん。これってなんの骨なんですか?」

「これかい? これは……ちょっと変わった魚の骨だね」

「魚!? 魚の骨ってもうちょっとこう、細くてシュッとしてるイメージなんですけど」

「まぁ、変な魚なんだよ。ほら、こういう魚でね」

「うわー! すごい変!」

 考えているうちにキュレーターの人に聞いていた。

 そうか、魚か……

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