第1502話:チレピア・グラドン~失礼交流~

「なんだぁ?」

「ちょっと失礼」


 話しかけたらものすごい形相で睨まれた。

「何か気に障ることでも言ってしまっただろうか、どう思う?」

 自らの中に潜むもう一つの人格というか客観視に人格を与えたような存在に尋ねる。

「そうだなぁ、お前は純粋に失礼だ」

「えぇ、そんなことはないだろ?」

「無いわけあるか、一方的に話しかけた上に一回にらまれただけでそのままターンして机の陰で一人でこしょこしょやっているののどこをどう見たら失礼じゃないというんだ?」

「それはそう」

 やっぱり自身を客観的にみるのは大事だなぁ。


「先ほどは失礼しました」

「なんだぁ、てめぇは……?」

「すみません、また失礼します」


「丁寧に話しかけても睨まれたんだが?」

 今度はすぐ後ろの机の裏ではなく、トイレまで後退して相談を始める。

「そりゃあもう第一印象が最悪だったものね。もう睨まれないのは不可能じゃないかな?」

「そうかなぁ……」

「もうこれは睨まれても頑張るしかないね」

「ぐわー、嫌だー!」

 そんなやり取りを一人でしていると後ろから「おい」と声を掛けられた。

「は、はひ!!!」

 さっきまで何とか話しかけようとしていた人だ。

「さっきからてめぇ、俺に何か用でもあるのか?」

「えーと、その……聞いてる曲がセンスいいなって思って……」

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