第1501話:ハリパル・メソイス~夜の散歩~
そろそろ夜は涼しくなってきた。
私以外の全てが眠っていて、この時間に外に出るのは私だけで、完全に私だけの世界。
人の営みの音は聞こえなく、虫や鳥の声が少し遠くに聞こえる状態でまるで人の世界が滅んだあとのようだ。
一時期そういう状態で生きてきたので、懐かしくもある。
夜で一人なので、どういうことをしようと自由ではあるが、昼に影響のあることをするのはよろしくない。
そうなれば自然ととる行動は街中を歩いて散策するという方向になりがちだ。
夜の散歩はいろいろと見え方が変わって新しいことに気づくものだ。
少し遠出すると知らない景色が見られるし、近所でも歴史を感じる民家が見つかったりする。
近くからヴーンという低い音が聞こえる、何の音だろうか。
聞こえる先に向かってみると、大型の冷凍倉庫という看板があった。
なるほど、冷凍庫のファンが唸っているのか。
毎回夜の散策は新しい発見があって楽しい。
今回の発見はヴーンという冷凍庫のファンの音。
昼間にも鳴っていると思うが、昼間には気にしている暇がない。
適当に疲れてきたし、そろそろ帰ろうか。
……夜の散歩はいろいろと見え方が変わって新しいことに気づくものだとはよく言ったものだが、そのその弊害もある。
夜は、普段と違うように見えるから同じ道だと気づかずに、道に迷いがちだ。
ここはどこだろうか。
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