第1490話:カイカ・フロッティ~手札が多い~

「選択肢が多いと何を使うか迷っちゃうんだよな、別にどれを選んでも間違っているってことは無いのにさ」

 友人が何かの選択に迷っているところに出くわした。

「どれを選んでも間違いはないのに?」

「どれを選んでも間違いじゃないからどれを選ぶか迷っちゃうんだよ……」

 あぁ、完全に全部同じ場合ね。

 確かにわからないでもない、ありとあらゆる条件で同じ物の場合、比較はもはや意味がない。

「あぁ、なるほどね。確かに間違っている選択肢は選ばなければ済む話だけど、全部が正しく結果が変わらない、または微差であるというのだったら実質どれを選んでも同じだものな。どれを選んでも良いという状況では、優劣がつけがたい」

「優劣つけがたいというか、優劣が一切ないからどれを選ぶか迷うんだよなぁ」

「そうそう、大変だよな決断するのって」

「決断、できればしたくないんだよなぁ。判断は得意なんだけど」

「誰だってそれはそう、決断はしたくないものな」

「決断したくない気持ちはまた違う気持ちだとは思うけど、そう」

「ところで、何で迷っていたんだ?」

「実はさ、何人もの女の子から言い寄られていてね、誰と付き合おうかどうかずっと考えてるんだ。誰と付き合っても同じだと思うんだけど……」

 なんて贅沢な悩み事をしていたんだこいつは……

 俺は頭の中で思い浮かべていたのは夕飯のおかずを何にするか程度だったのに……

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