第1480話:ヒシラ・カミラ~合いの子~

「牛と豚の合いの子の肉は合いびき肉になるのかしら」

「ならないんじゃないか……?」

 唐突に意味の分からないことを言いだした。

「だって牛と豚の合いびき肉っていうのは牛と豚の肉を一緒にひき肉にしたものでしょう? 双方の要素が良い感じに混ざり合っているなら合いびき肉だと思うのよ」

 うーん、うん? そうかなぁ、うん、そうじゃない気がする。

 でも反論できる要素が見つからない。

「そうだ、別にひき肉にしてないなら合いびき肉じゃないんじゃないか?」

「別にひき肉にしてないのなら合い肉でもいいし、ひき肉にしたいならひき肉にすればいい、そうすれば合いびき肉だろう?」

「うん? そうか……? いやいや、やっぱりなんか違う気がするんだよな……」

「なんだなんだ? 何が足りないというんだ? そうだなぁ、合いびき肉にありそうな要素って何だろうか。それと比較してみて合致するようならそれは合いびき肉ということだ」

「合いびき肉の条件がなんなのかですか、まぁ牛と豚の肉を混ぜたひき肉だってことは最低条件だとは思うんだけど」

「それなら満たしてるな!」

「それは微妙なところだな、まぁ後は、つなぎかな? 牛肉と豚肉をなじませるために小麦粉とかのつなぎを使ってるんじゃないですか?」

「つなぎがない合いびき肉もあるのだが、まぁ考えてみよう。そうだな、餌として小麦を与えられ続けた牛と豚の合いの子だったらどうだろう? これはつなぎを使ってることにならないだろうか?」

「ならないと思うんですけど、どうだろう……」

「そもそも、なじませるためというのならばそもそもが同じ肉として存在している以上味は馴染んでいると考えるのが自然ではないか?」

「そうかなぁ……?」

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