第1479話:フレイラ・ハイブス~自他の境界~
「この世界に来てからずっと探してるやつがいるんだけどさ」
生前知り合いの一人のことがこの世界でずっと気になっている。
「うん、死んでないんじゃないの?」
「いやいや、間違いなく私より先に死んでるよ。葬式だってしたし」
死んでればこの世界で必ず見つかるはずだし……
「でもこの世界で見つからないの?」
「そうなんだよね。あれがこの世界で死んだとも思えないし……」
「そんな人なんだ」
「そう、あいつは人なつっこくてすぐに人に取り入ることができる。だからどこかで生きてるとは思うんだが……」
「もしかしたらやっぱり死んでいないのかもよ」
「どういうことだよ?」
「私の経験上の話なんだけどさ、人に取り入るのが上手い子っていうのは自他の境界があいまいな子が多くて、当人にとっては相手と自分が同じだっていうことがあって、もしかしたら取り入った全員が死んで初めてその子も死ぬことになるのかもしれない」
「いやいやまさかそんなことにはならないでしょ」
ないとは言い切れなかった。
そうなると私がこうやってあれのことをずっと探しているのは私の中にいるあれがこの世界に来ていないことによる欠損が原因なのかもしれない。
そうなると、あれの知り合いはみんなこうやってあれの欠損を抱えて探しているんじゃないだろうか
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