第1481話:ヒライ・テッサ~腐った森~
「臭すぎる」
「森が丸ごと腐ってるからな。この世界では珍しいことだが、この森はどういうわけか腐食が進んでいる。その調査が目的っていうわけだ」
「腐ってるのか……久しぶりに見たな」
この世界ではわかりやすく腐食する例があんまりない。
防腐剤が優秀な場合もあるが、たいていは腐食の原因となる細菌の類が増えづらいというのもある。
だからこうやって大規模に腐食しているというのは珍しい。
「瘴気が濃い、マスクを外すなよ」
外したくもない。
「ぐぇ、ねちゃねちゃする」
腐った木がドロドロになって足を取る。
歩きづらい。
「とりあえず第一目標はこの辺の細菌が含まれていそうなところの採取。あとは大き目の塊があればそれも採取」
目的を確認しつつ森の奥へ進んでいく。
瘴気が充満しているからか、空気の重さが他よりも重いのか、それとも粘度が高いのか体が重く感じる。
「嫌な空気ですね……」
「腐ってるからなぁ、ちょっと懐かしい感じもある」
「僕は初体験です……」
「俺は昔住んでた近くにもこんな感じの森があったからな慣れてるっちゃ慣れてるが」
「その森はどうして腐ってたんですか?」
「さぁな? ずっと腐った森だったからだれもどうしてなんて気にしたことがなかったぜ。ん、いや……神様がいる森だからだったか? 入っちゃいけねぇって言われてたんだよな。まぁ少し入って遊んだりはしていたんだが」
「じゃあこの森もその神様が転生してきてるんじゃないですかね」
「そうかもなぁ、その場合この辺のサンプルじゃなにもでないことになるだろうけどな」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます